異国の地での奇跡の出会い
奇跡の出会い
ドイツには日本人がいます.
まあ当たり前よね.
ただ,日本人の数は日本より少ないです.
いや,当たり前なことじゃんと思うよね.
何が言いたいかっていうと,
この異国の地で日本人と意気投合して,
この人からたくさん学べそう!
もっと話をしたい!
と思うことって,
日本にいる時より確率がずーっと低いってことなんですよ.たぶん.
そんな中,ハイデルベルクに来てすぐ,
僕に連絡してくれた人がいたんですね.
なんだかバルシューレ(バルシューレについても今後書かせていただきます)に興味があって,
子どものスポーツに興味があって,
今,こっちにいる日本人の子どもたちに
サッカー教室を開いているとのこと。
わざわざ,僕なんかに連絡してくれただけでも嬉しかったのに,,,
「子どものスポーツ」
という共通点が!
彼の名前は,田中のぶまさ君(のぶ).
高知大サッカー部に所属していて,
現在はドイツに語学を学びに来ている.
語学を学びにきたけれど,
小さい頃からずっと続けてきたサッカーをドイツでもしたいと思い,
1人で様々なチームに足を運び,
自分で交渉をしてこちらのチームに入ったとのこと.
のぶとの初対面は意外にも自転車の上.
Facebookで見た顔とそっくりの顔のアジア系の男の子が自転車で
僕の前を走っていた.
自転車をこぐ足は,
日本人にしてはとてもたくましく,
足太族の末裔として名を馳せた僕の足を凌ぐほどだった.
のぶはとっても近所に住んでいたようだ.
自転車での出会いは僕だけが気づいて終わったのだった.
初顔合わせ
そんな彼との初顔合わせは,
日本人の子どもたちのサッカー教室.
子どもと楽しむのが上手な人は,
少し見るとそれなりにわかるようになってきた.
だてに教育大に6年いるわけじゃない.
僕はのぶと一緒に子どもたちと精一杯サッカーを楽しんだ.
とても素敵な時間だったことは言うまでもない.
そんなある日,のぶが地元広島のお好み焼きを日本の子どもたちに振る舞う。
というので,その会に僕も参加させてもらったのだが,
広島風のお好み焼きに子どもたちも興味津々で
美味しい!美味しい!と言いながら食べていた.
お母さん方と,ワンピースについて熱く語り,
のぶのお好み焼きをたらふく食べ,
次は北海道の名物ね,なんて話していたら,
あっという間に夜の10時...
子どもたち,眠たくなりもせず,ずっと遊んでる.
すると...
伝えるため
のぶがパソコンを取り出し,子どもたちを集める.
ん?これはなんだ?
のぶの今日の目的がそこでわかった.
のぶは今日,子どもたちにお好み焼きを通して,
『広島』
という自分の故郷を,そして,日本の中で原子爆弾という,
人が作り上げた史上最悪の武器で苦しんだ場所のことを伝えるために,
今日の機会を設けたのだと.
子どもたちがわかりやすいように,資料を作り,
真剣な目で伝えるのぶに,
そしてその話を真剣に聴く,子どもたちに,
僕は思わず,涙が出そうになった.
のぶは言うんです.
「彼らは日本人だけど,日本という国を知らないんです.
だから,少しでも日本という国のことを伝えたいんです.」
教育ってなんなんだと常々考えるけど,
先生になることだけが教育の道ではないと私は思うんです.
のぶが話していたことは紛れもなく教育であり,
僕が求め続ける,
『人に伝える』
という仕事だった.
本当に尊敬できる人間に,
こんな遠い国で出会えたことに,
心からありがとうと言いたい.