その一瞬一瞬を切り取る革命的な発明
カメラとの出会い
大学に入ったくらいから,新しいことを始めるようになりまして,
ロードバイクを買ってみたり,ギターを始めてみたり,登山をしてみたり・・・
どの趣味を今も続けているけれど,「ないと生きていけない!」というほどではありません.
途中少し飽きてしまったり,全然やらなかったりなんてことも.
そして大学を卒業してから,念願だったカメラを始めました.
しかも,これだけデジタルが進んでいる世の中で,フィルムカメラを買ったわけです.
初のカメラはヤフーオークション.ドキドキしながらフィルムカメラを買ったのを今でも覚えています.
自慢ではないけれど,カメラの知識なんて全くなかったから,フィルムの入れ方も,設定の方法も全く知らずに始まったわけ.最初の36枚のフィルムを取り終わって現像に出した時の感じなんてたまりませんでしたよ!
出てくる写真は,決してうまくない.ただのど素人の写真なんだけど,どこか暖かくて,それまで撮っていたiPhoneの写真とはまるで違ったわけですね.そこから僕はカメラにハマっていきます.
道東カメラサービス
初めてカメラを手にした僕ですが,なんとそのカメラが動かなくなってしまいました.「カメラがないならないでいいか.」とはならない体になっていました.ヤフーオークションで買ったので,修理にも出せず,50年も前の機種なので仕方がないかと諦めていた時,素晴らしい中古カメラ屋さんと出会ったわけです.
それが道東カメラサービスです.
この会社の社長は,カメラを分解し,一から組み立てる「オーバーホール」という作業をすることができるんです.
ここでいくつかカメラを買わせてもらっているんですが,僕は絶大な信頼を社長に寄せています.
その信頼のきっかけとなった言葉があります.
うちで扱っているカメラは保証がついていないんだ.でも,僕が死ぬまでは面倒見るからね.
初めて行った時に,社長にこの言葉を言われてからというもの,この人からカメラを買えば大丈夫だという安心感があります.そして,このお店にはカメラ好きの人たちがいつも集まり,熱いカメラトークが繰り広げられているのです.
毎日来ているという常連さんは,店に入ってくるやいなや,僕にこんな話をしてきたことがあります.
ちびまる子ちゃんの友達のたまちゃんっているでしょ.そのお父さんが持っているカメラは,ライカのM3 なんだよ.
ライカのカメラって,ドイツの超高級カメラメーカーで,昔はライカのカメラ一台で家一軒買えるなんて話もあるくらい.
店に入ってきて急にこんな話をする人に,僕は出会ったことがありません.
この店は本当にたくさんのカメラ好き,写真好きが集まります.
丁寧に点検されたフィルムカメラやレンズ,少しのデジタルカメラ.
そのカメラについてこれまた丁寧に説明してくれる社長や常連の人たち.
ぜひ帯広に行った際は立ち寄ってほしいし,そこからカメラの世界にのめり込んでほしいですね.
もはや無くてはならないもの
さて,ここからは最近の僕のお話です.
フィルムカメラから始めた僕も,フィルムだけだと現像代やフィルム代がバカにならないということを知り,デジタルカメラも始めました.最初に手にしたデジタルカメラがFujifilmのカメラ.フィルムカメラと違ってランニングコストがかからない分,本体やレンズが高いわけです(金銭感覚おかしくなってくるので注意!).
そんなFujifilmのデジタルカメラがなんと,ドイツから帰ってくる直前に電源が入らなくなってしまったのです.修理にも結構お金がかかるということと,やっぱり動いている子どもを撮れるようなゴツイ本格的なカメラがほしいなということで,新しいものを買おうかなという気になっていました.
これまでのカメラもとても良いもので,本当に色が綺麗に出ていて,ヨーロッパの街並みをいい感じで表現できていました.
しかし,動いている子どもたちを撮ろうとすると,どうしてもピンボケしてしまうというデメリットがあったわけです.
ということで,一旦Fujifilmは置いておいて,ちょっと本気のカメラを買おう!と意気込んでいたわけです.
カメラのキタムラでは中古で綺麗なものを買うことができるわけですが,なんと10万円のカメラ本体と,9万円のレンズを買おうとして,取り寄せ,ローンを組んで買う気満々でした(カメラのキタムラでは36回まで利子なしでローンを組むことができます).
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この仕組みが本当に良くない笑
そこまでしてカメラ必要?
という声が聞こえてきますが,無くなるとそこまでして欲しくなるくらい,カメラという趣味に僕はのめり込んでしまっていたようです.
相棒を愛せるかどうか
買う気満々で,毎日カメラのレビューを読み,いろんな人に話を聞きながら1ヶ月くらい日々を過ごしていたわけですが,実は買おうとしていたカメラを本気で気に入っていたかというと,そこはちょっと微妙でした.
カメラを持っている人はわかると思うのですが,いや,カメラだけでなく,何かしらずっと使うような高い買い物をする時に,触ったフィーリングを大事にする人は多いと思います.
僕は,買おうとしていたカメラを触った時,「少し安っぽいな」と思ってしまったわけです.
僕には憧れのカメラがあります.
こいつ,名前をHasselbrad(ハッセルブラッド)と言います(僕のではありません).スウェーデン生まれの伝説のカメラなんですが,こいつのすごいところは,何と言っても「シャッター」です!
ガシャン!という機械式シャッターの感じに僕は惚れてしまいました.それからというもの,シャッターを切った感じにうるさくなってしまったわけですね.
結局のところ,僕は合わせて19万するカメラとレンズを買いませんでした.
触った感じが微妙だったとはいえ,それを買う覚悟でいたわけですが,カメラのキタムラで取り寄せていただいていたレンズが届く1日前,カメラを通して知り合って,いつも僕の相談に乗ってくれるチハさんから電話が来ました.
「今,ドウカメ(道東カメラサービスのこと)にいるんだけど,NikonのD700っていうカメラが出ていて,社長が拓未にどうかなと言ってるよ!」
という話でした.
少し前のカメラなので,買おうとしていたものより値段が安く,調べてみるとNikonが誇る名機なんだとか.
何よりも道東カメラサービスの社長が,そこにいない僕に勧めてくれている!
結局1ヶ月ほど悩んで絞り込んだ19万のカメラではなく,社長,そしてチハさんからお話を頂いたD700に決めてしまったわけです.
触ってみて驚き,シャッターも大変気持ちよく,ずっしりとした理想的なカメラでした.
最後に
僕はカメラをやる人たちが口を揃えて言うこんな言葉が好きです.
今しか撮れない写真がある.
今の自分の感性でしか撮れない写真,
例えば,
子どもを撮るなら,今しかその子の今を撮ることはできないし,
風景を撮るなら今しかその瞬間の風景を撮ることはできません.
そして,その瞬間を切り取るシャッターを押すという行為を,信頼した人たちとの縁で手にしたカメラで行う.
改めて,カメラ,そして写真という趣味の素晴らしさに触れることができました.