やったことないことやってみる
ビザってなに?
実はドイツに行くことが決まるまで,ビザってなんのために必要なのか知らなかった.
みなさんは知ってる?
知らなくても全然大丈夫.
なにせ,海外に一定期間滞在する人だけが必要になるからだ.
パスポートは日本から海外に出るときに必ず必要なもの.そして他の国に入るときも必要.さらに自分の身分を海外で証明するためにも必要なものだ.
では,ビザは?というと,
「滞在許可証」
である.
つまり,「ここの国にいていいよ」という身分証明である.
ワーキングホリデイビザ,就労ビザ,学生ビザ,などなど種類は様々である.最近ではフリーランスビザというものもあるらしい.
ドイツはシェンゲン協定というものを各国と結んでいて,3ヶ月までならビザなしで滞在することができる.だから日本から来るとき,ビザは必要なかったのである.そしてこのシェンゲン協定国内はビザなしで行き来することができるのである.
外国人局との戦い
色々とバタバタしていたのと,ビザについての情報を集めるのに時間がかかり,3ヶ月ギリギリのところでビザの申請を出した.ちなみに僕は「研究滞在ビザ」というもので申請を出した.
・ビザの申請書
→全てドイツ語だからタンデムのLisaに手伝ってもらった
・生活できるだけのお金があるという証明
・パスポートのコピー
・大学卒業証明書
・健康保険証
・ドイツでの住民票
・大学側の受入証明書
これらの書類を持って行ったわけだが,
大学からの許可証が足りないと言われ帰された.
しかし,自分がバルシューレ・ハイデルベルクでお世話になっているMauriceに聞いても,受け入れてくれたRoth先生に聞いてもあまりいい回答が返ってこず,後日Mauriceと一緒に大学の窓口に行くことになった.
そしてそこで言われたのが,
「あなたは修士課程を修了していないし,留学ではないので,こちらで研究滞在を認めることはできない」
ということだった.
日本で調べたときに,研究滞在には修士課程修了が必要だという情報は出てこなかった.
そしてもうすでに3ヶ月は過ぎていて,すでに不法滞在である.(申請はしていたから大丈夫だったみたい)
そこから僕は,ワーキングホリデイビザへの変更を申請し,
・銀行口座にある残高証明(2000ユーロ+帰りの航空券のチケット)
・申請日から1年の保険延長
を求められて,また奔走.
ちなみに僕は次の渡航のためにワーキングホリデイビザは残しておきたかった.
それはなぜか.
ワーキングホリデイビザは1年間働いても働かなくてもいいし,語学学校に行っても行かなくてもいい.とりあえず1年間はこの国に居られるよというビザである.しかも,取得するのが他のビザに比べて簡単なのだ.
だが,ワーキングホリデイビザは,例えば,ドイツなら30歳までで,1年間1回しか取得することができない.つまり,今回の渡航で使うということは.「もうワーキングホリデイをドイツではできない」ということを意味している.
しかし,背に腹は代えられない.
僕はワーキングホリデイビザで申請を出して,去年の年末にやっと予約をすることができ,「次は1月9日に来てください」という,いわゆる「予約」をやっとの思いで取ることできたのである.
渡航してから約5ヶ月が経っていた.
人ってあったかい
このビザが長い間取れないというのはいろんなストレスの元になっていた.これがないと言われるたびに「またか.」と肩を落としていた.でも,おかげでたくさんの人に感謝ができた.
いつも困ったときに,話を聞いてくれたり,ドイツ語のメールを訳してくれたしほさん,
電話で担当者と掛け合ってくれて,いいからご飯食べに来なさいと言ってくれる菊池さん,
ビザの申請をお願いする文章を作ってくださった佐藤先生,
大学の受付まで一緒に来て,証明書のお願いをしてくれて,さらにそのことを必死でドイツ語で伝えてくれたMaurice,
担当者と電話でわざわざ掛け合ってくれたRoth先生,
何かと相談を聞いてくれて丁寧に教えてくれたタンデムのLisa,
何度もメールに対応してくれた担当者のFrau Rolle (結局会うことはなかった)
本当に色々な人に支えられて,人生で初めての海外での滞在許可を得ることができたことを僕は一生涯忘れることはないだろう.確かに自分1人で色々なところに出向いて拙いドイツ語で掛け合ってはいたが,これは絶対に僕1人の力ではない.
できた!の大切さ
僕は何度か失敗の大切さをこのブログで伝えているつもり.
では失敗ってどうしたらできるのか.
まず,なんで失敗をする必要があるのか.
「失敗は成功のもと」
とよく言われるが,基本的に失敗はやったことないことないことをやったときに起こる.例えば,日本で初めて外国人に英語で話しかけてみると,自分の言いたいことが伝わらなかったり,間違えた意味で通じてしまったりすることがあるだろう.
そのとき多くの人が「伝わらなかった」「僕の英語ではダメなんだ」と落ち込むかもしれない.これは自分がしたことないことをしたときの失敗である.
しかし,この失敗をした人が,なぜ伝わらなかったか考えて,今までより英語を何かしらの方法で学んだとする.もしかしたら次は言いたいことが伝わるかもしれない.それは一つの成功になる.
しかし,英語を話すのが怖い,別に話せなくもいいやと思って話すタイミングがあっても話さない人がいたとする.その人は失敗をすることもないが,成功することもない.つまり英語を話すということについて成長することがない.
大事なことは「やったことないことをしてみること」である.赤ちゃんの時,幼稚園児の時,当たり前だが自分の周りはやったことないことであふれていたはず.だから何かやるたびに失敗して新しいことを学ぶ.その経験が成長に繋がる.
でも大人になるにつれて,失敗したら恥ずかしい,怒られたくない,そんな思いが先に来て,やったことないことに挑戦する気持ちがどんどんなくなっていく.失敗をしないようにしないように生きていくと,その場で成長は止まってしまう.
僕は高校生,大学生だった頃,英語を話すのが嫌いだった.できないこと,間違えることがバカにされるんじゃないかと思っていたから.だからALTの先生とも話すのがあまり好きじゃなかった.でもドイツに来てから最初は間違いだらけの英語をたくさん使ってコミュニケーションをとっていた(そうするしかなかった).伝わらない経験を何度もすることで,英語をちゃんと学びたいと思うようになった.まずはドイツ語を習得しようと勉強した.まだまだ伝わないことがあるけれど来た時とは比べ物にならないほど,コミュニケーションを取ることができるようになった.
このできた!の感覚はたくさんの失敗があって積み上がった感覚だと思っている.
僕はこの渡航で本当にたくさんの失敗をして,たくさんのできた!を積み上げてきた.そしてこれからもたくさん失敗して,たくさんのできた!を積み上げていきたいと思っている.それが僕の血肉になっていくからだ.
ビザを取るだけでも数え切れないほどの失敗.日本にいるときはこんなに失敗できなかった.そしてこんなに日常的に「できた!」の感覚を持てなかった.それだけでドイツで生活している意味があると思っている.