日本からの訪問者

日本からのお客さん

日本からドイツまではフライトで10時間ほどかかる.トランジットなども合わせれば決して簡単な渡航ではない.腰は痛い,決して座り心地のいい椅子ではない,何より長すぎる飽きる…

 

それでも1人の先生と2人の学生が海を渡って,わざわざドイツのハイデルベルクという小さな街に来てくれた.僕の活動をずっと応援してくれている先生と,まだ会ったこともない初海外の2人.学生に関しては正気の沙汰じゃないと思う.ロンドンに留学しているその先生の学生もわざわざ合わせて来てくれた.おかげで狭い部屋に4人で寝ることになったけど笑

 

初海外の彼らは,1人でパリを鉄道を使ってロンドンへ移動,1人はハンドボールの試合を見たくてフランス語だけで書かれたチケットを購入し,1人でフランスの南,ナントへ行ってからロンドンへ移動.かなりのサバイバルをして,ロンドンにいる彼らの先輩のところへ向かっていった.

 

彼らは北海道の教員養成課程の学生で,将来は先生,もしくはスポーツの指導者,教育関係の仕事に就くことを目指して活動している.海外への挑戦も考えているようで,1人は今年の1月からロンドンで交換留学を行っている.

 

何より,こうやってわざわざ僕のところまで来てくれる,ということが嬉しいことで,全力で感謝したいと思うわけである.

 

※白いシャツの靖一郎くんは,僕のブログを深く読み込んでくれていて,日本からのお土産には,チョコパイを買ってきてくれました.

どっちがいい?

今でも覚えているが,大学の講義である先生がこんなことを言っていた.

 

東京の方が何でもありそうだから東京に行く.
田舎の方が静かだから田舎に住む.

すぐにどっちがいいかと考えてしまう.でも,どっちもいいところがあるけど,私はこっちに行ってみるという考え方がすごく大切だよ.どっちがいいというのは簡単にいうことはできないんだ.

 

海外に住むと,きっと多くの人が陥るのが,日本の方がいい,海外の方がいいという考え方.僕も最近まで,ドイツの方が日本よりもいいと思っていた.なぜ,そんなことが起こるのか.それは「知った気になってしまう」からではないかと思う.

僕は日本という国に20年以上住んでいるけど,住んだのは北海道だけ.ドイツにはたかが一年弱しか住んでいない.それなのに,日本よりドイツの方がいいなどと言ってしまう.

どっちがいいのではない.

「違う」だけである.

 

価値観も文化も常識も全てどっちがいいなどと言えない.「違う」だけなんだ.

 

もちろん,これはどうなんだ?ドイツのやり方真似できるんじゃない?日本に持って帰ったらうまくいきそう!という部分はあるし,日本のこのシステムはドイツに比べるとうまくいっていないなということもある.でもそれは逆も然りなのかもしれない.

その点は日本に帰国してから気をつけないといけないことだと思っている.気をつけないとただの痛い人だと思われてしまう.笑

 

海外に出てみて,良かったのはきっと「違う」ということを知ったこと.これはきっと出てみないとわからない.違うことを受け入れてどう生きていくか,どう選択していくかが,おそらく重要なんだと思う.そしてこの「知っている」というのも危険があって,所詮は一年だ.だいたい20年以上住んでいたって日本のことも知らないんだから,一年でドイツのことを知れるとは思えない.この点を決して間違えてはいけないなと思う.

 

教員養成をもっとより良く!

日本から来てくれた先生も学生もみんな,北海道で教員養成の大学に関係する人たち.

先生は,北海道の教育大学を出て,その時からずっと北海道の教員養成を変えたいと思い,いろんな経験をして,今兼ねてからの目標だった北海道の教員養成をより良いものにしようと闘っている.学生たちも,子どもたち,教育に関わろうともがいている.

 

とても嬉しかったのは,その先生から,

「一緒に北海道の教員養成をもっとよくしていこう!」

 

と言ってもらえたこと.

 

ずっとそんな風に言ってくれているが,僕は日本でどうやって働いたらいいのか,自分の経験をどんな風に還元したらいいのか,わからず,ドイツで働いていくことを考えていた.

 

でも,僕の目的は「ドイツで働くこと」ではない.

何度か書いたが,

 

「子どもたちが自分のやりたいこと,学びたいことを学べる環境を作ること」

 

その目的を実現させる手段は,いくつかあると思うが,

 

その1つに,「教師になりたい学生と関わって、先生ってどんな仕事?どういう人が子どもたちと学んで行ける人なの?ということを一緒に考える場を大学などで設けること」だと思う。

 

子どもたちの環境をもっとよくしていく人たちに影響を与える立場に立つということだ。

 

現在,北海道の小学校の教員採用試験の倍率は1,5倍.この倍率は,高校受験くらいのものだ.北海道教育大学という5つの分校がありながら,小学校の先生として働きたいという人が少なくなってきているというのは数字からわかること.

 

教師という仕事が大変で忙しい,時代的に先生としてやらなければいけないことがたくさんあるなど,そこにはたくさんの問題が潜んでいるのだろう.

 

どの仕事も社会的にとても大切だから,一概に比較はできないけれど,やはり,これからの時代を生きていく子どもを育てていく,義務教育として誰もが通る道である学校という場所で,子どもたちの前に立つ存在である教師という職業は言わずもがな,重要な職業だ.

 

この仕事に価値を見出せない,なりたい人が減っている,というのはやはり大きな問題だと思う.

 

昔から言われていることだが,海外の教員養成課程,学校のあり方が日本とは違い,働く時間も短く,学校には授業がないところもあるなど,いい点がたくさんあるという.

確かに日本の学校の先生は,「スーパーマン」と言われるのはわかる.

授業,日々の雑務,保護者対応,部活などなど…

 

でもこれも一概に比較はできない.

日本も真似をするべき,北欧はこんなことしているのに日本は…

こういう話になってしまうのは仕方がないが,僕はドイツの教育方法を聞いただけ,見ただけで,教育を受けたわけではないし,まして現場に出て働いたわけでもない.

 

日本の課題を海外で感じるもよし,海外の良さを見るのもよし.
でも,それを「日本の教育が良くない,海外はいい」としてしまうのはまだ早い気がする.

 

海外を少し見ることができて,比較することができる立場にいるからこそ,日本の良さと課題,他の国の良さと課題を比較しながら,今の日本にはこんな力が必要だと考えていくことが今の自分には必要かなと思う.

 

そして北海道で教師になりたいと思っている学生たちと,そんな考えを深めていけたらいいなと思う.

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