研究を一緒に楽しめる仲間がいる幸せ
自由ということの難しさ
今回は僕の大学院生活の一部を紹介しようと思う.
僕の1日は,大学生のときと同じように,というかむしろ大学生の時よりも時間に縛られていない.
例えば,月曜日は1講目があるから8時に起きなきゃいけないとか,
今日は水曜日だから,4講目しか空いていないとか,そういうことは一切ない.
起きる時間も自由だし,何時に作業を始めてもいいし,終わってもいい.
だから最近は午前中,自転車に乗っていることもある.
大変楽ちんな日常と言われても仕方ないのだけれど,
残念ながらやるべきことはたくさんある.
改めて,学生は自分でやるべきことを管理したり,
与えられたことをするだけじゃない,主体的な姿勢を求められているなと
ここ最近は常々感じている.
締め切りがなくても,自分でそれを定めたり,
誰かとコミュニケーションを取って,士気を高めたりすることも時には必要だろう.
時間に縛られない自由な状況は一見楽なように見えて,
やる人とやらない人では大きく差が開く時期になるのだと思う.
ゼミで出される課題
大学生のゼミには,3年生と4年生,先生と僕たち大学院生で
行われていて,基本的に毎回,課題が出されて,
その課題の成果を発表するというような流れでゼミは進んでいく.
これまでいろんなゼミに参加してきた.
本を読んできて,自分でまとめたものを発表して議論するゼミ.
研究計画を発表して,みんなで検討するゼミ.
中島ゼミは,課題の量がなかなかすごい.
この前は,「1週間で60本の先行研究を読んでまとめてくること」だった.
そして次に出された課題は,「1週間で40本の英語論文を読んでまとめてくること」である.
正直言って,大学3年生の頃の僕には,考えられない課題だ.
おそらくできなくて徹夜しているだろう.
中島ゼミの学生に聞くと,年々ハードルが上がってきているらしく,
本数も増してきているとのこと.
だいたい,僕が大学生の頃は,先行研究の重要性なんてわかっていなかった.
読み方も検索の仕方もよくわからなかったから,先行研究なんて読んで何になるんだと,
反発していた気がする.
先行研究を読んで,まとめることがなぜ大切なのか.
例えば,「子どもの学力は,体力と関係があるのか」
というテーマで研究したいと思ったとしよう.
誰でも予想はできる.
「運動ばかりしている子は,勉強できないんじゃない?」
「もしかしたら体を動かすことで,脳が活性化されるかも・・」
だが,これはあくまで予想である.
研究テーマにしていくためには,これまで「子どもの学力について」や「体力について」
どんな研究がされてきたのか整理する必要がある.
これまでの研究を踏まえて,導き出した予測が,「仮説」となる.
仮説を導くためには,これまでの研究,つまり先行研究をたくさん読む必要がある
ということになる.
ある程度の量の先行研究を読んでまとめるという作業は,
研究をする上で欠かすことのできない作業なのだ.
しかし,何がすごいって,その課題に向かう学生だ.
研究を楽しむことができる素質
嫌々,大量の課題をこなしているということになると,
こんなにかわいそうなことはない.
しかし彼らは,結構楽しそうに取り組んでいるように見えてならない.
3年生にとっては初めてのゼミの課題.
課題を発表する姿はオンラインなのに生き生きしているのが伝わってきた.
「こんなに読んで,こんなことがわかりました!」
「実は,こんなことが今まで言われているんです!」
課題の多さだけを見ると,確かに「辛そう・・」と感じるかもしれない.
でも,自分が調べてきたものを人に発表するというのは本来,楽しいものなのだと思う.
その姿を見て,自分が最近辛そうに先行研究を集めていることを振り返った.
せっかく楽しめることをやっているのに,
「やらなければいけないことをこなしている」
だけになっているんじゃないかと.
自分で調べてきたものを発表したり,調査して出た結果を人前で楽しそうに紹介する.
それが研究する醍醐味であることを,改めて教えてもらっただけで,
ゼミに参加させてもらえていることに感謝するべきだと感じたわけです.
お互いの調査や研究を紹介することを楽しめるメンバーがたくさんいることを噛み締めて,
この1年間を過ごしたいと思いますね.