自分のことは自分で決める
自分の将来の見通し
大学生だったのはもう4年も前で,僕の同期は99.8%がすでに働いているだろう.その中でも僕は未だ職についていない.
教育大学の大学院生なので,小学校や中学校に行くこともたびたびあるけれど,自分が大学4年生だった頃の2つ下の後輩に会うこともあって,不思議な気持ちになる.
僕も教育大学に入ったときには,学校の先生になるという夢を持っていて,卒業後の未来を楽しみにしていた.
結果的にどうなっているかというと,今では北海道教育大学在学8年目に突入していて,釧路,岩見沢,札幌の3つのキャンパスに通うというかなり珍しい人になった.
あまり褒められたことではない.
友達からも「永遠の学生」などと言われているが,案外いい言葉だなと思っていたりする.
大学4年生の時に,周りの人にこれからどうするのかと何度も聞かれたが,「大学院に行くけど,どうするのかまだわからない」とよく答えていた.
ドイツにいくときも,戻ってきたらどうするか聞かれて,「帰ってきてみないとわからない」と言っていた.
つまり,目的が定まっていなかったし,どこに向かって進んでいるのかも把握できていなかったのだと思う.
船で旅に出るけど目的地は知らないといったところだろうか.それはそれでいいけれど,その船はどこにもたどり着かない.経験値は増すけれど,どこでその経験が役に立つのかイメージができないはずだ.
今の僕には目的がある.だから,今の自分の行動の理由のほとんどを説明できるだろうし,まだ曖昧な部分については説明できるようになる必要がある.先日話に出た沢木耕太郎の本を読むことにも理由がある.
それは見通しをもてるようになったということだと僕は解釈している.
先の見えない洞窟は怖い
今ではほとんどの先輩や同期,後輩が先生として学校現場で働いている.なかなか連絡を取るタイミングもないのだが,聞くところによると仕事が忙しくて悩んでいる人も多いという.
確かに学校の先生は大変な仕事だ.
毎日子どもたちと向き合って,様々な会議に出て,子どもたちが帰ったと思ったら,次の日の授業の準備をして,子どもが喧嘩をしたら保護者に電話をして事情を説明する.現場で働いたことのない僕が思いつく限りを書いただけで大変なことがわかる.
しかし,中には楽しんでいる人もいて,そういう人は平日のほとんどの時間を奪われていても子どものための準備を怠らず働いている.
僕は正直,先生以外の人たちの仕事を想像することはできないけれど,先日放送されたドラマ・半沢直樹の言葉に感動した.
「どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って、日々奮闘し、達成感を得ている人のことを本当の勝ち組というんじゃないかと、俺は思う」
仕事が大変で苦しんでいる人たちが,負け組だと言いたいわけではないことをここではっきり言っておく.その働く環境によって置かれている立場は違うし,降りかかってくる仕事は異なるものだと思う.
ただ,自分の仕事に対してプライドを持って,先生なら目の前の子供のために,営業の人ならお客さんのために働き,達成感を得ている人は,仕事に膨大な時間を取られていたとしても,きっと幸せなのだと思う.
加えて,僕なりにひとつ言えることがあるとすれば,目の前のどんな仕事にも真剣に取り組む人は,自分の将来を見通していると思う.今やっていることが何につながるのか,目的までのプロセスのどこを歩いているのかを把握しているからこそ,多少辛いことにも果敢に取り組んでいけるのかもしれない.
では,どうしたら先を見通して今を生きることができるのだろうか.
全ては環境……でもない
多くの成功者?が言うように,自分がどこに身を置くのか,つまり環境は大切だと思う.
孫悟空と一緒にいる環境によって,クリリンはメキメキと力をつけていき地球人の中では最強である.
「英語を話せるようになりたければ,英語圏に出るのが一番いい」といったいどれだけの人がを言っただろうか.英語を話さないといけない環境に身を置けば,自ずと英語力は伸びるはずだ.
今の僕は,研究をする環境に身を置くことで,知らぬ間に力をつけているらしい(あまり実感はない).確実に言えるのは,1年前の僕ができなかったことを今の僕はできるようになっている.
だから,やらないと死ぬ,やらないと信頼を失う(社会的に死ぬ),そんな環境に飛び込めば人は成長するのかもしれない.
では,今くすぶっている人は環境のせいで今苦しんでいるのだろうか.
残念ながら,この質問の答えは「NO」であると思う.
結果的に今の環境を選んだのは自分だ.その職業を選んだのも,その進路を選んだのも,その部活を選んだのも全て自分であって他の誰でもない.
自分が目的を決めて,その目的にあった環境や手段を選ぶ.ディズニーランドに行くと決めれば飛行機を手段として選ぶし,サッカー選手になると決めたら,上手い選手が集まる競争率の高いチームに所属しようとするだろう.
結局,自分で見通しをもって目的を決めることで,勝手に環境や手段は決まる.
スタートは「自分で決める」ということであって,環境を選ぶことはその後の話だ.ルフィは「海賊王になる」と決めたから船を出し仲間を集めた.「あのかっこいい車を買う」と決めたから,お金を貯めるということと構造は同じだ.
環境が大事であることは否定しない.だが,目的のない人が競争率の高くて,課題が多い環境に身を置いても辛いだけに決まっている.
今の僕の環境は,ゼミの部屋に1人で長いときに半日以上パソコンと向き合ってデータを整理する.ときには厳しいことも言われるし,自分の不甲斐なさにへこむときもある.
それでも,自分で決めた目的があるから,やることが多くて辛くなっても,達成感を得て毎日を過ごせている.
毎日が充実していると感じるのは,少し将来の自分の姿が見えているからなのかもしれない.