リアクションを取ることは大事?
大学の授業は難しい・・・
みなさん,久しぶり!
大学の教員になると,ブログを更新するときもあれこれ考えてしまって,
なかなか正直なことが書けないものです.
今日は久しぶりに,ドイツの頃のことを振り返ってみようと思います!
その前に,一応大学の先生っぽい話を.
大学で働いている中で大きな仕事の一つが,それはやっぱり大学生を相手に授業をすること.専門が体育や運動だからっていうこともあって,教室で学生たちが座ってて講義!みたいな授業はそんなに多くないんだけれど,数十人相手に喋ることがまあまあある.
もちろん,真面目な授業を一生懸命考えて,スライド用意して,できるだけわかりやすく,難しい言葉を使わず,時には笑いも織り交ぜながら,頑張って喋りまくって,今の大学では「アクティブラーニング」が求められると言いながら,「できるだけ距離を空けて」となかなかの矛盾の中,闘っておりますよ.
そんなのは,大した気にならないんだけど,最近本当に気になるのは,
「リアクションの無さ」
これにつきます.
まず,考えないといけないのは,一生懸命準備している自分の話がよくわからなくて,そもそもつならなくて,何を言っているのかわからない可能性があるということ.
この可能性は全然否定できないし,もっとちゃんと授業を考えないといけないと思う.
ただ,マスクしている学生の表情はわからないし,反応も全然わからないから,表情見て面白いかどうかもわからない.それに,コロナになる前と比べて・・・みたいな話は,大学の教員になったばかりで昔の学生と比較したってわからない.
だから,どんな理由だとしてもまずは自分の授業が面白くないのかな?と疑うようにしている.
ただ,そうだとしてもやっぱりリアクションが薄い,そもそもリアクションの取り方がよくわからないということは全然ある気がする.
僕はよくオーバーリアクションなんて言われて,大袈裟すぎて嘘くさいとよく言われる.
美味しいもの食べたら,目を丸くして「めちゃめちゃうまいっすねー!!」と言うし,面白い話聞いたらすごく頷きながら,目で「わかるわかる!!」と伝える.この前行った釧路のサウナでは,サウナのことを語りすぎて,お店の人から「サウナへの愛が伝わってきました」と言われた(これはリアクションではないか).
だからなのか,大学生の時は講義でよく当てられていたし,先生から名前を覚えてもらえることも多かった(どの授業も真面目に聞いていたかと言われると・・・).
今日は,そんなリアクションが海外生活でとっても役に立った話をしたいと思う.
言語よりリアクション
こんなタイトルつけると,留学系のブログを書いている人に怒られそうだけれど,体感としては本当のこと.
ドイツでの初めての生活をスタートさせたのは,2018年の夏だからもう3年半も前になった.ドイツに旅立った梅村青年は今大学で働いている自分を1ミリも想像していなかっただろうな.
そんな初めてのドイツ生活は,2週間のドイツ周遊を経て,ミュンヘンで始まった.語学学校の寮が住む場所で,語学学校も寮もとっても値段が高くて引いた(合わせて月に28万円払った).
語学学校の寮は1人部屋だったけれど,簡単なキッチンと机と椅子,シャワー,ベッドがあるという感じで,高い割には大した何もついていなかった.最初は調理器具もなくて大変だったことを覚えている(そもそもどこで何が売っているのかわからない).
そして,インターネットは有線しか飛んでいなくて,MacBookで有線接続なんてしたことがなかったから結構困った.頑張って有線ケーブルとコネクタを買ってきたのに,設定がうまくできず,結局その1ヶ月インターネットが使えなかった.ちなみに,海外では新しいSIMカードを入れないとスマホも使えないのだけれど(めちゃめちゃ金払えば日本の契約のまま使える),僕は3週間くらい契約の方法がわからなくて,スマホも近くのカフェとかじゃないとネットが使えなかった.
ただ,寮で隣だった人が「俺の部屋の無線LAN使っていいよ」と言ってくれたから,その人が部屋にいるときだけ,かろうじて電波をキャッチしてネットが使えていた.ありがとう,あの時の隣の人・・・・
自分のドイツ語学校のクラスもよくわからず,語学学校初日の朝に寮の食堂で朝食を食べていた.当然知っている人なんていないし,全員ガイコクジンだ.だけど,ここでウジウジしていても何のためにこんなところも来たかわからない.近くにいた男2人になれない英語で声をかけた.1人は陽気なイタリア人(アンドレア),もう1人は渋い感じのインド人(ダリーア)だった.
2人は,ドイツ語こそ初級者という感じだったけれど,全然英語でコミュニケーションが取れていた.ダリーアは母国語みたいなものだけど,アンドレアも全然普通に英語を話す.2人の会話には最初ほとんどついていけなかったけれど,めちゃめちゃ知ったかぶりリアクションをかましておいた.そうすると,すぐに英語が話せないのがバレたんだけれど,「こいつ,英語もドイツ語もわからないで来てるんだぜ!」と周りに言うようになって,なぜか執拗なくらい構ってくれるようになった.
僕が唯一準備して持っていったものが「自転車」で,寮から語学学校までは節約するためにも自転車で通っていた.ちなみにそんな人いなくてみんな電車を使っていたから,この2人はいつも「Takumiは,今日も自転車😆??」みたいな感じで絡んできていた.
語学学校でのクラスは全然違って話さないのに,気づいたら寮ではいろんな人から話しかけられるようになった.バーベキューパーティみたいなものが開かれた時に,それぞれ自国の経済状況について話そう!となった時にも,アンドレアが「Takumi,英語でJapanの経済状況説明してよ!」とニヤニヤしながら言ってきた時は流石にどうすることもできなかった.英語の問題じゃなくて,日本の経済について話せなかったな・・・笑
だいぶドイツ語が上のレベルのイケイケ集団(イケメン3人,ブロンド美女3人みたいなグループ)も僕の話をかぎつけて,今度は僕にドイツ語で「今日はどうだった?」なんて聞いてくる.「良かったよ,そっちは?」と習ったばかりのドイツで返すと,色々と話してくれるんだけれど,僕が聞き返したにも関わらず,こちらは何にも聞き取れない.そんなことを繰り返していた.
でも,イケイケ集団はとても優しかった.ドイツ語も英語もできない僕を決して見下したりしない.一度,語学学校で会ったときにそのメンバーの1人が「この参考書はとっても勉強になるよ,絶対大丈夫だから頑張れ(的なこと)」を言ってくれて,なんていいやつなんだと思った記憶がある.
いろんな人に対して,とにかく良いリアクションだけを心がけていた.言葉がわからない分,身振り手振り,そして表情で何とか相手に意思を伝えようとしていた気がする.そうすると,寮ではみんなが友達になってくれたし,中国人の2人は僕のことを気に入って,バイエルンミュンヘンの試合を誘ってくれたし(なんかめんどくさくて行かなかったけれど),朝の3時まで飲んで踊ってたし(途中で酒で具合悪くなって帰ってきたけど),みんな気さくに話しかけてくれて親切にしてくれた.
極め付けは,アンドレアとダリーアが面白がって,WhatsAppという海外版LINEみたいなもので,「Takumi’s Fan Club」というグループを作って,僕と写真を撮った人がそのグループに写真をアップするというのがあった.確か11人くらいメンバーがいて,最初は僕が入っていなかった.しかも,そのメンバーの人は僕に会ったことのない人もいて,初対面で「Hi, Takumi!!?」みたいに絡んできていた.
最初で最後のファンクラブは結構嬉しいものだった.
出川が海外でウケるのもこういうことなのかもしれないなんて,考えていた.
コミュニケーションの第一歩
「コミュニケーション能力をつけたい・・・」
なんて言葉を面接で言われることが多い.それは誰とでも話せるとか,友達が多いとか,人の話を聞けるとか,そういうことなのか?という疑問を持つことが最近は多い.
おそらく,コミュニケーションはアクションもしくはリアクションで始まるのではないだろうか.自分からアクションするか,相手のアクションに対して反応するかのどちらかだろう.
でも,「自分から声をかけるのはちょっと・・・」ということはある.
じゃあ,アクションしてくれた人に対して,リアクションでちゃんと返すことが結構大事な「コミュニケーション能力」だと思う.
ドイツでは,たくさんコミュニケーションに苦しむ日本人を見た.みんな話しかけられて「うんうん」言っているだけど,リアクションが薄い人が多かった.もしかすると日本人はリアクションするが苦手なのかもしれない.
自分の感情を表にちょっと多く出すだけで,相手は気持ちよく話せるし,またこいつに話してみようと思うのかもしれない.
ドイツでの経験は,意識していなかった自分のリアクションがどこで生きるかを教えてくれた.そういう意味では,言語が堪能じゃないこともそんなに怖くないし,自信を持って海外に遊びにいける.