みんなに愛されて
結婚式はやった方がいいの?
2年ぐらい前まで,ちょっと結婚式には批判的な姿勢を取っていた.
だから,自分は結婚式なんてやらないし,そんなお金があるなら2人で旅行に行きたいと思っていたくらいだ.「100万円はかかる」「何をするにもオプション料金」と冠婚葬祭の痛烈な洗礼を浴びせられた人たちの話をよく聞く.
結婚式に憧れている人もいるし,すでに盛大な挙式を敢行している人もいるので,あまり変なことは言えないけれど,わかってくれそうな人には,「結婚式なんて・・・・」とよく話していた.
そんな僕にもターンが回ってきた.
結婚自体に対しては,別に批判はない.戸籍を入れて大事な人と家族になるわけだから,それは素晴らしいことだし,幸せなことだ.僕も暖佳とは長年付き合って,待たせてしまったところがあるから,ちゃんとプロポーズもしたし,しっかり入籍した.
結婚したら,家族も増えて,暖佳のお父さんやお母さん,お兄ちゃん家族とも仲良くなって,それで満足をしていた.僕の父さん母さんも,新しい娘ができたみたいに喜んでいて,僕がいなくても3人でお出かけしたりしている.
そして,式はどうするかという話に必ずなる.
幸いなのか何なのか,暖佳もそこまで結婚式には興味がなかった.どちらかというと,式にお金をかけるよりも旅行がしたいというタイプだったので,特に揉めることもなく話は進んだ.
ただ,2人とも一つだけやりたいことがあって,それが結婚パーティだった.
相場は,2人が主役で華やかな姿を見せて,幸せのお裾分け,みたいなことがいわゆる披露宴なのかもしれないけれど,僕たちがやりたかったことはまた違う.
来てくれる友達がいるなら,その人たちに楽しんでもらいたい.笑顔になってもらいたいというのが心からの希望だった.
籍を入れてからすぐに,そのパーティをどのように開くかという話になった.
そしてたどり着いた答えが,「自分たちで企画して自分たちで開催しよう」だった.
結婚パーティ実行委員会設立
まずは,会場をどうするか.
札幌のレストランを貸し切ることも視野に入れていたが,値段も含めてどうもしっくりこない.
披露宴みたいになってしまうから,あまり自由が利かない.
そこで,頭をよぎったのがJiziだった.Jiziは,暖佳が大学生の頃アルバイトしていたお店で,よくクリスマスなんかにカップルが来るようなおしゃれなお店.今のオーナーは暖佳も僕もよく知っている大槻さんという方で,天才的な面白さと優しさを兼ね備える人.Jiziを通して知り合った人は数知れず,暖佳も僕も仕事抜きにして,ファミリーみたいな付き合い方をしていた.
大槻さんにダメもとで,Jiziで貸切でパーティをやらせてもらえないか聞いてみると,二つ返事でOK
「そういうお願いを聞くために,オーナーになったんだから」
と快諾してくれた.
大槻さんが一瞬も迷わずに,お店を使わせてくれると言ってくれたから今回の企画はスタートした.
カメラマンはもう決めていて,釧路でスタジオを構えているチハさんとのりさんにお願いした.
2人とは写真を通して出会って,今では仲の良い親戚みたいな不思議な関係.
釧路に行ったらいつもおもてなししてくれて,寝る時間も忘れてあれやこれやとしゃべくりまくる.
(暖佳はまあまあ早く寝る)
チハさんは,優しさと繊細さを兼ね備えていて,のりさんと僕と暖佳が抜けているところにしっかり突っ込んでくれるような芯のまっすぐな人.打ち合わせでもチハさんがいなかったら脱線しすぎて大変なことになっていたでしょう.
のりさんは,抜けているように見えてこれまた優しさが表に出てしまっている人.人の写真を撮るときののりさんの人柄は一級品で右に出る者はいない.僕はこんなに優しい人に出会ったことがない.
5月頃には,お店を使わせてもらえること,写真を撮ってもらえることが決まり,まずは自分たちで開催できることが決まった.
パーティの内容は,じいちゃんと秀子さん(ばあちゃん)のカラオケをするということだけ決まった.
ギリギリのパーティ準備
6月くらいには,招待状も出していたけれど,招待状はウェブで作れて結構おしゃれになるやつ.
正直,ほとんど制作に時間はかかっていない.
ちなみに,6月には僕がアキレス腱を切ったせいで1ヶ月はギプスで片足生活,次の1ヶ月は装具をつけて超絶不便な生活を送っていた.片足のキュロス軍隊長さながらだった.
本当は夏までに全ての流れが決まっていて,誰が何をするかといった計画がはっきりしているのが目標だったけれど,夏休みが終わるあたりでやっと焦り始める暖佳.急に色々と結婚パーティに使うものを用意し始めた.
僕には全く危機感がなく,暖佳は夏休みが終わる3日前くらいから制作活動を始めた.
そんな姿を全然何もできない僕は横で応援だけ.暖佳はとても楽しそうに準備を始めたけれど,こんなに何もしない夫に一切文句を言わないところがすごいところだ.
次々に手作りの小物を作る暖佳.途中からその手作りのクオリティの凄さに,転職を進めたくらいだ.
僕がしたことといえば,みんなで歌を歌いたかったから,啓太,晋吾,謙次郎,藤原にnobodyknows+のココロオドルをやろうと声をかけて,スタジオで集まって練習.啓太のおかげでJiziのスペースに5本のマイク.パート割もしっかり決めたのでなかなかの完成度に仕上がった.
まあ,僕がしたことなんて,暖佳の準備に比べたらとてもちっぽけなもので,足元にも及ばない.前日も実家に戻ってみんなに食べてもらいたいと試作までした「くまマフィン」をギリギリまで作っていた.文句言いながら暖佳のお父さんが手伝っていたことも,お母さんが最後まで準備を手伝ってくれたことも,この先ずっと話せる思い出だろうな・・・
2022年10月7日と8日
僕の母親がこういった.
「暖佳ちゃんのお母さんとお父さんが絶対に暖佳ちゃんのウェディングドレス姿を見たいはずだから挙式もやった方がいい」と.
Jiziでのパーティが決まっていたから,挙式も釧路で.
確かに,家族同士の儀式は開いてよかったのかもしれない.
お互いの家族が幸せそうな顔をしていて,何より花嫁姿の暖佳はとても綺麗だった.
暖佳のお父さんの少し緊張したバージンロードも,お母さんのベールを下ろす姿も,結婚式をやらないと見ることができなかったわけで,それだけで開いてよかった.
それにしても,挙式が終わった後に,釧路駅に向かって開く扉から階段を降りていくところは恥ずかしくて仕方ない.釧路駅の駐車場に停まっている人たちが拍手しているのだから,たまったものではない.
その扉が開いた時に,釧路駅のトレードマーク「946」が外されていて,ちょっと寂しい気持ちになった.
10年前に初めて釧路に来た時には,そのマークのダサさにかなり引いていたのにな.
7日の挙式の後は,みんなでご飯を食べて解散.
挙式が終わっても,僕たちは休むことができず,動画編集とお菓子作りに忙殺状態だった.
そして,待ちに待った8日のパーティ当日
朝8時から,Jiziの大槻さんがお店の鍵を貸してくれて,店内の装飾スタート.
僕は動画の編集を続ける.朝の段階でまだ完成していないなんてどれだけギリギリなんだ.
それにしても,自由にお店の中の装飾までさせてくれた大槻さんには,どこまで感謝をしたらよいか.
店内には僕たちの写真が溢れ返り,色々と物の配置を変えて,スクリーンまで置いて,本当にお邪魔しました・・・
暖佳と僕は,釧路時代にお世話になっていたしずさんのお店でヘアメイクをお願いして,かっこよく綺麗にしてもらい,しずさんのお店に行くまでの車の中は,漫才の練習.ギリギリまで準備を怠らないと言うべきか,余裕がないと言うべきか.
15:30にパーティに招待していたみんなが受付をして,Jiziに集合.
親戚もお互いの友達も集合して,僕はソワソワしながらみんなを迎え,暖佳は控え室で姿くらまし.
開演までは,啓太が作ってくれた婚姻届を出した日の記者会見動画を放映.
くだらない動画が30分続く.
16:00に,司会である新郎・拓未が喋り始める.
「新郎・新婦入場」
この時点で,異例の始まり方だから,見る人によってはドン引きだろう.
その次が「新郎挨拶」
目立ちたがり屋すぎる新郎がここからよく出てくる.
始まってからは用意していた盛りだくさんのプログラム.一つずつ書いていったらこのブログがいつまでも続いてしまうけど,できるだけここに書き残しておきたい.最初に言っておくと,どのプログラムも最高に感動的で最高に笑えて,後悔など何もない.
暖佳のお父さんの乾杯の挨拶は,ドリンクが間に合わず,まさかの挨拶するお父さんがエアーで乾杯.
れいかのスピーチは,暖佳への愛が詰まった素敵な話.最初の入りが暖佳が作ったれいかへの友人代表スピーチとほとんど同じで,どれだけ「アホ同盟が好きなんだ」と突っ込みたくなった.
啓太のスピーチはちょっとズルかった.あれはみんな泣くでしょ.ケンカした時は「明日晴れるかな」を思い出せばいい.
じいちゃんと秀子さんのデュエットなんてほとんど見ることができない実はレアな瞬間.28歳になってこの前初めて聞いたんだから.
そして,練習していたココロオドル.なんだかんだやると言ったらみんな真面目に楽しめるメンバーだった.とにかくみんなで歌っている時が楽しすぎて,これからのイベントごとでまたやりたいくらい.
暖佳が2人のお父さんの作ったカクテル.2人の父親の乾杯を見て,家族が増えるっていいなと思った.顔合わせからそうだけれど,親同士が仲がいいって大事なこと.
あれだけ練習した漫才は,意外にも小笑い.爆笑をかっさらうはずだったのに,微笑ましい雰囲気を生み出してしまったようだ.わざわざサンドウィッチマンのネタを録音して,音声を何度も聞いて間の取り方まで練習したのに.
後半は,結婚式といえば・・・といった感動シーン.まずは,2人のこれまでの成長や友達との出会いをスライドショーにして見せたけれど,家族にとっては涙なしでは見られないんだろうな.
そしてこの会随一のハイライトは花嫁の手紙かな.暖佳は読むのを嫌がっていたけれど,会場全体が涙するようなすごくいい手紙だった.深瀬家だけでなく,梅村家も友達もみんな泣いていました.
ちなみに,暖佳のお父さんが,「拓未も手紙を読んだ方がいい.感謝を伝えるべき」ということで,花嫁の手紙の後は,新郎のスピーチが始まった.正直,時間がなくて一切準備していなかったのだけれど,その場に立てば話したいことは色々出てくるわけで,頭で振り返りながら,僕なりの感謝を伝えたつもり.
最後の,新郎の父の締めの挨拶も,うちの父さんらしく,ちょこちょこ笑いを取りながら,ちょっとクールにいい感じに締めてくれた.確かにこんな野蛮な息子を持ったら色々と目について大変なんだろうな.
全部自分たちで企画して盛り上がって涙を流した,素敵な1次会が終了.終わってみれば3時間半も楽しんでいたけれど,ほとんどご歓談タイムがなく,見逃せない企画が次々と行われる素晴らしい会になったような気がする.2次会も友達だけでしゃべくりまくって素敵な時間になったことは言うまでもない.
これだけの企画を考えるのはいいけれど,撮影はもちろんアテンドをしてくれたチハさんがいなかったら,一体いつまで1次会が続いたかわからない.勝手気ままにやる私たちをちゃんと後ろで支えてくれる人がいなかったらこの会は実現しなかった.
ノリさんはずっと撮影し続けてくれて,余すところなく素敵な瞬間を切り取ってくれた.きっと撮ってもらった写真を見たら,何度でも余韻に浸れるんだろうな.
啓太も,動画から写真からたくさん素敵な瞬間を残してくれた.作ってくれた動画は間違いなく永久保存版で,暖佳は現実に戻された仕事の行き帰りで2回ずつ,寝る前に1回の計5回,毎日動画を見ている.
大槻さんと店長が出してくれた食事はどれも最高だったみたいで,目で満足,音で満足,舌で満足できる会にすることができたのは,Jiziのみなさんのおかげ.今回を期に,Jiziの魅力がたくさんの人に伝わってくれたら嬉しい.
遠いのに集まってくれた友達のみんなは存分に楽しんでくれただろうか.自分たちが,the 主役になることよりも,来てくれた人たちに楽しんでもらいたくて,色々と準備をしたけれど,来てよかった,楽しかったとみんなが思ってくれることが,今回の成功を示してくれるはず.素敵な時間は誰かと共有したいもので,あの時,あの瞬間を共有したということが,これからもずっと語り継がれるといいな.
家族の皆さん(あそこにいた人たちみんな家族だと思ってるけど)の顔が,すごく幸せそうで,こんな自由な会でもちゃんと開いて,感謝を伝えることできてよかったと思う.あまり意図していなかったけれど,結婚式で自分たちが楽しそうな姿を見せることも,思い出を振り返ることも,きっと最高の親孝行なんだと思う.
結び
過去最長のブログになっていて,そろそろ本を出した方がいいんじゃないかと考えている.
ここまで読んでくれたみなさんは強者です.
今回の結婚式と結婚パーティを通して,自分たちがいかに幸せであるかを噛み締めることができた.主役になるのはちょっと・・・と言いながら,堂々と前に立ち目立ちたがり屋を猛アピール.そんな僕たち(基本は僕?)を笑顔と涙で受け止めてくれるみなさんがいるから,漫才も一生懸命練習したし,準備も怠らなかった(暖佳に拍手!).
暖佳と結婚すると決まったから,みんなを集めて最高に楽しい会をやりたかった.
みんなの心に刻み込まれるような,最高の瞬間を作りたかった.
みんながいてくれたおかげで,みんなが僕たちを慕ってくれるおかげで,そんな願いを叶えることができた.
きっと,間違いなく世界で一番幸せ者.
みなさんへの心からの感謝で,このブログを締めたいと思います.
ありがとうございました!