相手に対するリスペクトを常に忘れない
成功体験の積み重ね
人はやったことのないことを経験し,できるようになることで成長していくと僕は思っている.
自転車に乗れなかった子どもが,乗れるようになることで,自信を獲得して他の物事に対しても積極的になることができたり,初めて1人で買い物をすることができたから,他の家のお手伝いも自分からやるようになったりする.
そうして子どもは成長していくし,それは大人になってからも実は一緒なのだと思う.
英語ができなかった人が,海外に出て英語を話すしかない環境に飛び込んで,なんとかレストランで注文することができたら,その人にとっては大きな一歩であり,その後も前に進んでいくことができる.
人間はそうやっていろいろなことを獲得していくのだろうし,「自分はできる!」と思って自信を付けていく.そのことができるようになるだけでなく,他のことにも果敢に取り組んでいくことができるようになるのだろう.
僕はこのブログの中で,「やったことがないことに取り組んでみる」ということを何度も言ってきた.僕にとってはできることの積み重ねが今の自分を作っていると思うし,チャレンジとはまさに自分を成長させてくれる1番の方法だと思っている.
しかし,そうして身に付けた自信の裏に隠れているものがあることを把握しておく必要もある.
初心忘るべからず
自信をつけることで,どこか気が大きくなってしまうことは誰にでもあるだろう.最初は不安が多かったのに,慣れてきたり周りから認められたりすることで,「なんとかなるだろう」という気が大きくなって,準備を怠ったりすることも珍しくないと思う.
僕はおそらく今その段階に来ている.
去年から,大学院生としては贅沢なほどの経験をすることができている.
自分で調査を進めることができるようになり,大学生や大学院生に研究に関わることのレクチャーをしたり,実際の授業で話したり,講演会などでも話す機会をいただいたりしてきた.
学校の先生たちと直接やり取りする中で,僕が用意した資料を先生たちに説明することもある.
新たな経験を1年間やってきて自信もついたし,周りからも少しずつ認められることも増えた.そういう自分に安心している自分もいた.
ただ,最近の言動を振り返るとどうだろう.
本当に相手に対して心から敬意を払っているだろうか.何か自分だけで動けている,自分が主導でやっていると思っていないだろうか.
人はどんな立場になっても自分1人で生きているなどいうことは絶対にない.
必ず誰かのおかげ,何かのおかげで自分は今生きているということを忘れてはいけない.
人と人との関わりの中で活動している以上,感謝の対象がいなくなることはない.どんな立場でどんな地位になったとて,相手に対する思いやりや敬意を忘れては決していけない.
常にそのことを意識しながらも,自分の自信を大切に,前後を確認しながら「石橋を叩いて渡る」ことが大事なのだろう.
最初の,“何をするのにも緊迫していた初心”を決して忘れてはいけない.
相手を想像すること
相手に敬意を払って最初の頃を忘れないとは言うものの,そのときの感じを忘れないというのは実はとても難しいことだ.
すでに研究をしたことがなかったあの頃の気持ちを思い出してと言われても100%を思い出すことは無理があるだろう.
では,どうしたら初心を忘れずにいられるのか.
僕は「想像する力」が重要だと考えている.
対人関係でのトラブルは,自分の言動になんらかの欠陥あって起こることがほとんどだ.もちろん相手が自分に対して何かしてしまうこともないことはない.ただ,案外巡り巡って自分がしたことや言ったことがつながってその相手とのトラブルが起こっているということはよくある話だ.
とどのつまり,相手の姿や思いを想像することで,自分の言動を改めることができると思う.これを言ったらその人がどういう思いになるか,この言葉はどういった意図で発せられた言葉なのか,会話の中でもそういったことを考えて人と接することは重要なことだと思う.
例えば,LINEグループで, Aさんが何か情報を発信したとしよう.
「来週の〇〇日にBさんが作品の展示会をやるみたいです.もしよかったら皆さんも見に行ってください!」
こういった内容のことはグループラインなどではよくあるだろう.例えばこのグループが30人のグループだったら,皆さんはこのLINEにどんな反応をするだろうか.
僕の所属するグループラインでもこういった発信はあるけれど,基本はみんな既読スルーではないだろうか.そうすると発信しAさんは既読29とついているのにもかかわらず,誰からも返事が来ないということになる.グループのほとんどが「誰か返事するだろうな」と思っているからこういう事態が頻発する.
ここで先ほどの「想像する力」を思い出してほしい.
想像する力のある人は,「AさんがBさんを応援したくてこの発信をしている」とAさんの思いを想像して反応することができる.相手の思いを想像することは,トラブルを防ぐだけでなく誰かの助けになることだってある.
それは自分の身近にいる家族や毎日顔を合わせる人たちにも同じことができて,仲が良いからこそより一層大切にしないといけないことだと思う.
さて,僕は「できる」を繰り返して以前よりも自信がついた.ただ,それは多くの人の支えのおかげだ.今度は周りの人の思いをしっかりと想像して行動することが求められていると思う.これもまた一つ階段を上がったということなのかもしれない.